【イマドキの車事情】中古車価格の表示が「支払総額」に!2023年10月より義務化されました
- 出典:
- 一般社団法人 自動車公正取引協議会
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数年ぶりの大きな規約改正に
2023年10月より自動車公正競争規約・同施行規則の改正が行われました。その内容は、中古車価格の表示を「支払総額」へ統一するというもので「義務化」されました。
この背景には、大手中古車専業店を中心に「安価な価格を表示しながら実際は表示金額では購入できない」や「保証や整備などの強制購入」、「不適切な諸費用(納車準備費用)の請求」など中古車の販売において多くの問題点が見られる一方で、消費者に対するアンケートでは回答の約9割が「支払総額表示」を希望しているという現状があります。
上記のような問題は筆者の営業時代(15年くらい前)からありました。徐々に問題視されはじめたのが某大手中古車専業店がもともと仕入れた車両の装備品を外して最初からついていなかったように見せかけ、再び取り付けて別途、料金を請求する「2重取り」のような販売方法取っていたことがあり、代表的な例だとナビを取り外してオーディオレス状態にするやり方です。中でも特にひどいなと思ったのがもともとついているフロアマットを別売りしていたのには驚きました。
「安価な表示」では、オートオークションの落札金額を車両価格で表示、実際店舗で見積をしてみると「プラス60万」になるということが一時期は横行しました。
他にも小売相場に比べ著しく安い車両には他に掲載写真では一見キレイに見えますが実際、店舗で見てみるとキズだらけで到底板金補修をしなければならない状態、室内が異常なほどに汚いなど「直さなければこの価格」のような売り方をする販売店もあります。価格自体にウソはありませんがこれがディーラー系列店だったので驚きを隠せません。
こうのような売り方はコロナ禍で中古車相場が急騰した時に多く見られ健全な中古小売り市場とは言い難い状態です。それでもひと昔前はメーター改ざん車(実走行より距離が少なるように巻き戻すやり方)など詐欺罪に抵触するような車は激減しています。
中古車の販売価格表示に関する問題点は以前からありましたが近年、トラブルがより表面化してきていることから2020年度より販売価格の見直しについて検討が開始され、2023年10月より同施行規則の改正が行われました。
改正規約・規則の施行によって必要とされる対応
- プライスボード・カードの変更
- Webサイトや新聞・チラシ広告等の表示内容の変更
- 中古車情報誌・同 Webサイトの表示内容変更への対応
- 注文書の変更
- 「諸費用」等に関する適切な対応(問題がある場合は見直し、適正化)
中古車規約・同施行規則等の改正
- 販売価格の表示を「支払総額」に変更
- 定期点検整備の表示を「定期点検整備付き」、「定期点検整備なし」に変更
- 不当表示に関する規定の見直し
- 規約違反措置基準の改正(厳格化)→ 厳重警告、社名公表、違約金
諸費用の適正化
- 不適切な諸費用 (「納車準備費用」等 ) は、請求できないことの明確化 →「支払総額」に含まれる「諸費用」は、「①保険料」、「②税金」、「③登録等に伴う 費用(登録等手続代行費用)」
- 「車両価格」に含まれるべき中古車の商品化のための費用(「納車準備費用」等)を「諸費用」として別途請求した場合、「表示された価格で購入できない不当な価格表示」として、重大な規約違反となります。
改正後の中古車の販売価格の表示
- 販売価格を表示する場合は、「車両価格」に「諸費用」を加えた価格を「支払総額」の名称を用いて表示
- 内訳として「車両価格」及び「諸費用の額」を表示
- 「価格には保険料、税金、登録等に伴う費用が含まれている」旨を表示
- 「当該価格は、登録等の時期や地域等について一定の条件を付した価格で ある」旨を表示
(引用:2022年11月一般社団法人 自動車公正取引協議会 中古車の販売価格の表示(「支払総額」)に関する自動車公正競争規約・同施行規則の改正について)
プライスボード・広告の「支払総額」表示例
- この記事の執筆者
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倉田 佑一郎
自動車業界歴20年。24歳で自動車販売・買取の大手FC本部に入社。加盟店へのスーパーバイジング(経営改善)を得意とし、最優秀サポート賞を複数回受賞。独立後は多数の企業へ自動車ビジネスの支援をする傍ら、一般ドライバーへ向けた記事執筆や監修を行う。プロの目線から、愛車の価値を高く保ち賢いカーライフを送る提案を得意としている。