【修復歴車の見極めポイント第6回】サイド編「サイドステップ」

前号まで4回にわたって「フロント」の修復歴について触れました。「フロント」の修復歴は、査定をおこなう人が比較的意識する箇所であるため、他の場所に比べ修復歴発見率が高い箇所になります。
今回は、車両の側面(サイド)における修復歴へ入っていきますが前部(フロント)に比べ、発見の難易度が高い修復歴になります。査定経験を多く積んだとしても非常に見落としが多く、特に注意が必要となってきます。車両の側面は、前部(フロント)や後部(リア)に比べて、衝撃に弱い構造となっているため、比較的軽微な損傷であっても広範囲まで損傷が波及することがあります。
- 目次
サイドステップ(ロッカーパネル・サイドシル)とは
車体の左右を前後に走る骨格となります。最近の車体ではモノコックボディが多く採用されており、独立したフレームではなく、アンダーボディと一体の形状になっている場合が多いです。車両の剛性や強度を上げて、前後左右方向への「ねじれ」を防ぐのが主な役割となっています。
修復に関しては、横方向からの追突や前後への大きな衝撃によって、損傷するケースが多く見られます。以前は、サイドステップに修正機跡がついている車両は大きな事故を起こしている場合が多かったですが、近年、衝突安全ボディの普及等から修正機を用いての修理が増加しています。その影響もあり、フロントクロスメンバー同様に、軽微な凹みやキズでは、修復歴とはなりません。
ただし、軽微な修復であってもサイドメンバーを修復している場合は、その付近のピラー等も修復している可能性があるので注意が必要です。※ピラーに関しては次号で触れます。
見極めのポイント
サイドシル(サイドステップのミミ)には、修復する際、車両を固定するクランプ跡が確認できる事があり、修復歴発見の有力な手がかりとなります。
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- ①サイドステップ(ロッカーパネル・サイドシル)の凹み、キズ、曲がり、歪みの有無を確認
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- ②全体を見渡して塗装、修正跡(修正機跡)、溶接の剥がし跡を確認
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- ③サイドステップ(ロッカーパネル・サイドシル)結合のシーラントを確認
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- ④サイドステップの交換
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部品交換している場合は、溶接部分を全域に渡って確認する必要があり、スカッフプレートを外して判別していきます。塗装跡に関しては、サイドステップの場合、小石や砂の跳ね上げを考慮した厚みのある塗装をしていることを知っておく必要があります。
※左右どちらか片方の外板を前から後ろまで交換していることが確認できた場合、横転している可能性がありますので念のため、ルーフを確認しておく必要があります。
- この記事の執筆者
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倉田 佑一郎
自動車業界歴20年。24歳で自動車販売・買取の大手FC本部に入社。加盟店へのスーパーバイジング(経営改善)を得意とし、最優秀サポート賞を複数回受賞。独立後は多数の企業へ自動車ビジネスの支援をする傍ら、一般ドライバーへ向けた記事執筆や監修を行う。プロの目線から、愛車の価値を高く保ち賢いカーライフを送る提案を得意としている。