【修復歴車の見極めポイント第7回】サイド編「ピラー」

【修復歴車の見極めポイント第7回】サイド編「ピラー」

前回は車体側部のサイドステップ(ロッカーパネル/サイドシル)について触れました。車両側面(サイド)の修復歴は車両前部(フロント)に比べ発見の難易度が高い箇所となります。特に「ピラー」は、センターのキャビンを守る部分となり、修復歴車の中でもダメージが大きいと判断されます。修復を見逃しやすい部分でもありますのでドア近辺やリアクォーター上部等を修復されいる車体は、気をつけながら査定を行う必要があります。

ピラーとは

車体の屋根を主に支える柱となり、キャビンを守る重要な骨格となります。一般的には、左右対称についている骨格となりますが、左右で数が違う車種も存在します。(ex ダイハツ タント2代目 L375S  トヨタ アイシス等 左側がピラーレス)

ほとんどのセダンやクーペ、ワゴン、軽自動車やトラック等、必ずピラーが存在します。

主にフロントガラスと屋根を支えるフロントピラー(Aピラー)、屋根を支えキャビンを守るセンターピラー(Bピラー)、リアガラスと屋根を支えるリアピラー(Cピラー)の3つの柱が基本となります。修復歴としては、正面、側面、後方または、横転事故等の強い衝撃により損傷してしまう場合が多く見受けられます。

ピラー部分イメージ

見極めのポイント

査定の基本となる「外から内」は、ピラーも例外なく該当しますので外板パネルの取り付け状態、ヒンジ等を確認し、ピラー部分を確認していく手順で見落としが最小限に防げます。併せてピラー交換の修理工程を知っておくことで発見確率が上がります。

センターピラー発見の手順
  • ①各外板パネルの状態(取付状態・板金の有無)を確認

    車両の外板パネルは、左右対称に作られているため、各パネルの取付状態や隣接するパネルとの隙間の間隔が均等となっているのが正常な状態です。取付部分のシーラントや溶接部分、パネルの隙間の間隔が左右で違いがないかを確認します。

    各外板パネルイメージ
  • ②ドア・ドアヒンジ(交換の有無)の状態確認

    外側から内側へ衝撃が伝わるので、先ず、ドアの状態を確認し、ヒンジの状態を確認するという順番となります。ドアの交換歴の有無に関しては、隣接するパネルとの色調の違いやチリが合っているか、板金歴がないかを確認し、シーラントの状態を確認します。シーラントの乱れや衝撃跡、修正箇所などは、比較的ドアの下側に多く見られます。

    ドアヒンジの状態や取付けボルトの状態で、交換の有無を判断していきますが、ヒンジのボルトに関しては、新車から調整してある車両もあり、確認する場合は、ドアの状態と併せて判断が必要となります。

    各ピラー部の凹み、キズ、曲がりイメージ
  • ③ピラーの確認(各ピラー部の凹み、キズ、曲がりの確認)
    ミニバン:各ピラー部を確認
    セダン:各ピラー部を確認
    曲がり
  • ④ピラー修正

    ウィザーストリップを剥がして、マスキング跡やスポット溶接跡の状態を確認します。車両同士の側面事故から考えると、ほとんどの場合、急ブレーキをかけて衝突するため、車両の先端は沈みこんだ状態で衝突します。その為、ピラーの修正の場合は、比較的下側のヒンジ周辺に多く確認できます。

    スポット打ち直し跡
    塗装ムラ、修正跡
  • ⑤ピラー交換

    センターピラーの場合、上下でカットして交換することが多く、ピラーの真ん中周辺でマスキング跡やスッポトを確認した場合、交換を発見できないケースも出てきます。ピラーは、交換と修正で見る視点が違うことを認識しておくことが重要です。

    ピラー交換跡イメージ
この記事の執筆者
倉田 佑一郎

倉田 佑一郎

自動車業界歴20年。24歳で自動車販売・買取の大手FC本部に入社。加盟店へのスーパーバイジング(経営改善)を得意とし、最優秀サポート賞を複数回受賞。独立後は多数の企業へ自動車ビジネスの支援をする傍ら、一般ドライバーへ向けた記事執筆や監修を行う。プロの目線から、愛車の価値を高く保ち賢いカーライフを送る提案を得意としている。