【修復歴車の見極めポイント第10回】ルーフ(屋根部)編

【修復歴車の見極めポイント第10回】ルーフ(屋根部)編

これまで修復歴車の見極めについて前部(フロント)・側面(サイド)・後部(リア)それぞれ解説してきました。前部(フロント)は、比較的意識する箇所であるため、他の場所に比べ修復歴発見率が高い箇所ですが側面(サイド)は査定経験を多く積んだとしても非常に見落としが多く、難易度が高い修復歴です。後部(リア)は、厳しい態勢で確認をしないと見えないため、「思い込み」で判断してしまう傾向が極めて高い箇所です。

今回、屋根部(ルーフ)について解説しますが、もっとも修復歴発見の難易度が高い箇所となります。また、見落とした時の損害も非常に大きいので注意が必要です。

ルーフパネルは、外板パネルの中で唯一、交換されていると修復歴となる部位です。凹みだけでは、修復歴扱いにはなりませんが、他のパネル以上に修理費用がかかり、見落としが非常に多い部位です。

修復の原因は、衝撃による損傷となりますが、他の部位と異なり、屋根部(ルーフ)の修復については、衝撃による損傷と雹害の2つの要因があります。

事故などによる損傷が原因の修復

片側一面の外板パネルが交換・修復されている車両は、横転事故の可能性があります。車両後部に受けた衝撃が原因となってルーフの交換・修復を行っている車両もあるので、後部(リア)の修復歴内容が重度の場合は、細心の注意が必要です。

雹害による修復

ボンネット・トランクに交換歴が確認できたものの、その他の外板パネルや内側の骨格に何も確認することが出来なかった車両は、ルーフを特に注意して確認していきます。ごくまれにルーフパネル単体のみ交換されている車両もあることをしておく必要があります。

ひと昔前は、雹害車の評価点が1点と減点が大きかったですが、現在ではデントリぺア等、修理技術の向上によって、雹害車の評価が緩和されました。

見極めのポイント(修復歴確認方法)

  • ①セダンタイプのルーフ

    ワゴンやハッチバックタイプとは異なり、簡単にシーラントの状態を確認できないため、セダンタイプの場合は、助手席の天張りをめくって、スポット溶接跡を確認するのが、判別しやすい方法となります。

    セダンタイプのルーフイメージ
  • ②ワゴン・ハッチバイクタイプのルーフ

    リアゲートの状態を確認した際、ハッチの取付部分を確認します。シーラントの状態を確認し、後塗りか判断できた場合は、セダンと同様に助手席部分の天張りも確認します。

    ワゴン・ハッチバイクタイプのルーフイメージ
  • ③ルーフの修理

    修理工程から各ピラー部分に外板パネルには板金跡が確認できます。ただし、ドアやクォーターと板金箇所の面積が小さいため、ピンポイントで見つけることが困難です。

    そのため、ウィザーストリップをはがし、修理部分を探す方が発見しやすいです。ルーフ交換する場合、どの辺で切り離すかを分かっているだけでも有力な発見の手掛かりになります。

    ルーフの修理イメージ
この記事の執筆者
倉田 佑一郎

倉田 佑一郎

自動車業界歴20年。24歳で自動車販売・買取の大手FC本部に入社。加盟店へのスーパーバイジング(経営改善)を得意とし、最優秀サポート賞を複数回受賞。独立後は多数の企業へ自動車ビジネスの支援をする傍ら、一般ドライバーへ向けた記事執筆や監修を行う。プロの目線から、愛車の価値を高く保ち賢いカーライフを送る提案を得意としている。