【修復歴車の見極めポイント第9回】リア編「バックパネル、トランクフロア」

【修復歴車の見極めポイント第9回】リア編「バックパネル、トランクフロア」

前回は車体後方のリアクォーター(リアフェンダー)について触れました。車体後方は、フロントのボルト留めと比べ溶接留めとなっているため強度はより強く、交換修理を行った場合は、フロントフェンダーの交換4点と比べ0.5点低い3.5点となります。

今回、バックパネルやトランクフロアについて解説していきますが車体後方の衝撃は、前回触れたリアクォーターやリアピラー(Cピラー)、ルーフピラーまで波及ケースも少なくありません。そのため、衝撃が波及するであろう部位まで追う必要があります。目視し辛い上に、広範囲まで衝撃が波及する傾向にあるため、確認の手順や衝撃の範囲を予測しながら査定していく必要があります。

バックパネル(エンドパネル)とは

車体最後尾、スペアタイヤハウス先からリアバンパーの付け根、トランクルームに沿って取付けがされているのがバックパネルとなります。以前はバックパネルの修正・交換でも修復歴車の扱いとなっていましたが、前部(フロント)廻り同様に衝突安全やショックを吸収するような構造に変わり、現在は、バックパネルの修正・交換のみの場合、評価点3.5点となります。

修復としては、追突等をされて修正、交換がされるケースが多く、前部(フロント)の修復歴とほとんど変わらない数が流通しています。それほど大きな衝撃でなければ、バンパーがクッションとなり、バックパネルで衝撃が収まるケースが多いですが、強い衝撃が加わるとトランクフロアにも衝撃が及びます。

バックパネル(エンドパネル)イメージ

トランクフロア(リアフロア)とは

主にスペアタイヤの収まる部分(最近では、スペアタイヤレスが多くなっており、荷室になっているケースが多い)、セカンドシート後方(あるいはサードシート後方)のアンダーボディ部分を呼びます。ここの部分は、バックパネルとは違い車体の骨格上でも重要な部分となり、修正・交換がされていると修復歴車となります。

また、修復歴がない場合でもキズや凹みが大きい場合も、修復歴車の扱いとなりますので、査定時には、下から覗き込んで確認する必要があります。

トランクフロア(リアフロア)イメージ

リア修復歴発見の手順

  • ①トランクリッドの板金跡、隙間の間隔が均等かを確認

    全体を見渡して不自然な塗装はないかを確認し、シーラントの状態を確認します。

    トランクリッドの板金跡、隙間の間隔が均等かを確認イメージ
  • ②リアハッチのボルト部を確認

    次に全体を見渡してスポットの打ち方は均一か、スポット溶接の2度打ちはないかを確認します。

    リアハッチのボルト部を確認イメージ
  • ③リアハッチのシーラントを確認
    リアハッチのシーラントを確認イメージ
  • ④ウィザーストリップを剥がして確認
    ウィザーストリップを剥がして確認イメージ

見極めのポイント

上記の手順で外板パネルの交換・修理跡を確認していきますが、トランクフロアは、外板パネルを介さず直接ダメージを受ける場合があります。

そのため、外板パネルの交換・修理が確認出来なくても下を覗き込み、目視にて確認する必要があります。

  • ①トランクフロアの凹み、キズ、曲がりを確認

    全体を見渡して不自然な塗装はないかを確認し、シーラントの状態を確認します。

    キズ、凹みを確認
    トランクフロアからの曲がり
  • ②トランクフロアのシーラント、スポット溶接跡を確認

    次に全体を見渡してスポットの打ち方は均一か、スポット溶接の2度打ちはないかを確認します。

    修正後のシーラント跡、再スポット溶接跡
  • ③トランクフロアの塗装ムラ、修正跡、修正機跡を確認
    バックパネル、トランクフロア継ぎ目の再スポット溶接跡
    シワ、浮き、シーラントの乱れ、修正跡、サビ、クランプ修正跡
この記事の執筆者
倉田 佑一郎

倉田 佑一郎

自動車業界歴20年。24歳で自動車販売・買取の大手FC本部に入社。加盟店へのスーパーバイジング(経営改善)を得意とし、最優秀サポート賞を複数回受賞。独立後は多数の企業へ自動車ビジネスの支援をする傍ら、一般ドライバーへ向けた記事執筆や監修を行う。プロの目線から、愛車の価値を高く保ち賢いカーライフを送る提案を得意としている。