【修復歴車の見極めポイント第5回】フロント編「フロントサイドメンバー、カウルパネル」

【修復歴車の見極めポイント第5回】フロント編「フロントサイドメンバー、カウルパネル」

前号では「フロントインサイドパネル(インパネ)」について触れました。修復歴の度合いとしては「中」となりますが、先端部分に関しては、目視では確認しずらい部分もあるため、パーツを外したりして確認する必要も出てきます。

今回は、修復歴度合いとして重度とされる「フロントサイドメンバー(フレーム)」「カウル(ダッシュ)パネル」について触れていきたいと思います。

フロントサイドメンバー(フレーム)とは

フロントサイドメンバー(フレーム)は、前方がコアサポートやフロントクロスメンバー、側面はインサイドパネル、後ろはカウル(ダッシュ)パネルに挟まれている部位になります。

その為、サイドメンバーに損傷や修正、交換などが確認できた場合には、隣接している骨格部位にも損傷が及んでいる可能性が非常に高いです。

フロントサイドメンバー(フレーム)イメージ

見極めのポイント

衝撃の入る方向から考えて、サイドメンバーより手前にある他の部位の損傷や修正、交換などを確認し、その後、サイドメンバーを確認するという手順となります。サイドメンバーにおいても、フロントクロスメンバー同様に確認が難しい部位となりますので外板から骨格(外から内)、衝撃の入る方向、隣接する部位の状態などから総合的に判断することで、確認することができます。

フロントサイドメンバー修正・加修・損傷例

  • サイドメンバーとインサイドパネルの歪みによるシーラントの割れ
    サイドメンバーとインサイドパネルの歪みによるシーラントの割れイメージ
  • サイドメンバーとインサイドパネルの接合部のシーラントの乱れ
    サイドメンバーとインサイドパネルの接合部のシーラントの乱れイメージ
  • サイドメンバー曲がり現状
    サイドメンバー曲がり現状イメージ

例外によるフロントサイドメンバーの修復歴扱い

フロントクロスメンバー同様に低い位置にある為、低いものにぶつかった場合、ボンネットにダメージが無くても、サイドメンバーの先端のみ損傷するケースもあります。その為、外板パネルに損傷が無くても、サイドメンバー先端の確認は常に確認する必要があります。確認しずらい部位ですが、バンパーの隙間やタイヤハウスライナーを剥がした位置から覗くなど、工夫して確認する必要があります。

カウル(ダッシュ)パネルとは

カウル(ダッシュ)パネルは、エンジンルームと室内を仕切るパネル部分のことを言います。インサイドパネルやサイドメンバーと繋がっているため、カウル(ダッシュ)パネル単体で損傷を受けることはありません。カウル(ダッシュ)パネルの交換、修正、損傷が確認できた場合、修復歴としては「重大」な修復歴となります。修復歴の表記は「R」のみですが、R点の中でも非常に嫌がられる修復歴となるため、一般の販売においても業販においても売るのが大変難しいです。

カウル(ダッシュ)パネルイメージ

見極めのポイント

基本となる「外から内」の手順でインサイドパネルやサイドメンバーに交換や修正を確認できた場合は、併せてカウル(ダッシュ)パネルも注意して確認することが必要となります。

フロントからの入力によりエンジンルーム内の部品が押され、カウル(ダッシュ)パネルに損傷が波及する可能性もあるため、打痕後を探していくのも見極めのポイントになります。

この記事の執筆者
倉田 佑一郎

倉田 佑一郎

自動車業界歴20年。24歳で自動車販売・買取の大手FC本部に入社。加盟店へのスーパーバイジング(経営改善)を得意とし、最優秀サポート賞を複数回受賞。独立後は多数の企業へ自動車ビジネスの支援をする傍ら、一般ドライバーへ向けた記事執筆や監修を行う。プロの目線から、愛車の価値を高く保ち賢いカーライフを送る提案を得意としている。