【修復歴車の見極めポイント第11回】評価点の基準は緩和されている!?

【修復歴車の見極めポイント第11回】評価点の基準は緩和されている!?

これまで10回にわたって「修復歴」を判断する知識面の部分を紹介してきました。修復歴の発見には、基本的に外板パネルの損傷による修理歴から骨格部分を見ていき、主要骨格部分の損傷、修理(修正、加修)、交換があった場合に「修復歴」となります。ここまでの内容や大枠の定義は私が知る限り20年近く変わっていません。

しかし、評価点や修復歴の基準は一昔前に比べ数回にわたって緩和されてきています。オークション会場によって差もありますが評価点を含め代表的な例を紹介していきたいと思います。

フロントクロスメンバー

これまでのフロントクロスメンバーの定義は左右サイドメンバーに溶接されているものでしたが新定義(2019年4月1日より)では左右サイドメンバーに直接溶接接合されているものになったため、間接接合は除外されます。

新定義
クロスメンバーとして扱うもの 左右サイドメンバーに直接溶接されており、かつ部品が途中で分割されていないもの
クロスメンバーとして扱わないもの 左右サイドメンバーに直接溶接されていないもの、複数の部品で間接接合されているもの
フロントクロスメンバーとして扱うもの、扱わないものイメージ
出典:
一般財団法人 日本自動車査定協会

修復歴損傷の大きさ

各骨格部位の損傷においても2019年4月1日より変更となっています。

これまで軽微なもの(500円玉未満)に関しては「修復歴」として扱われませんでしたが新定義では「カードサイズ未満」まで損傷の大きさが緩和されています。

基準の見直しについては、衝撃の吸収がしやすいよう車体の構造が変化してきていることが背景ににあります。

以前の基準との違い
旧基準 新基準
軽微なもの(500円玉未満) 小さいもの(カードサイズ未満)

雹(ひょう)害車

15年以上査定経験がある方であれば「雹害車=1点」と習ったはずですが現在ではどのオークション会場でも3.5点となっています。

現在ではデントリペアの技術向上により一昔前に比べ修復しやすくなった背景があります。

雹(ひょう)害車イメージ

オールペイント(色替え車)

色替え車においても一昔前と評価点が緩和されています。

15年ほど前に私が習った時には同色オールペイントで「3.5点」、色替えオールペイントは「1点」と習った記憶がありますが現在では色替えオールペイントでも「4点上限」となっています。

オールペイント(色替え車)イメージ
この記事の執筆者
倉田 佑一郎

倉田 佑一郎

自動車業界歴20年。24歳で自動車販売・買取の大手FC本部に入社。加盟店へのスーパーバイジング(経営改善)を得意とし、最優秀サポート賞を複数回受賞。独立後は多数の企業へ自動車ビジネスの支援をする傍ら、一般ドライバーへ向けた記事執筆や監修を行う。プロの目線から、愛車の価値を高く保ち賢いカーライフを送る提案を得意としている。