USS東京2024年11月のオークション、時期らしい下落

USS東京2024年11月のオークション、時期らしい下落

明らかな下落、良質車は相場を維持

11月USS東京の集荷台数は67,552台、前年同月比では114.0%と二桁を超える台数となり、相場下落時期に大型会場へ集まっていることが分かります。

成約率は64.4%と60%前半に突入、昨年12月以来の低水準となっており、実際の競りにおいても流札が目立ってきています。【グラフ1】

2021-24年USS東京比較

成約単価は前月比-52千円、2ヶ月連続で下がっており季節指数通りの推移となりました。最終週においては1,600千円を割り込む1,576千円まで低下しました。【グラフ2】

2019-24年USS東京成約単価(千円)

7月に最高値(成約単価)を記録してからも高値推移が続き10月から徐々に下落、11月には明らかな応札弱さが見られました。どの会場においても成約率・成約単価の明らかな低下が数字でも出ていますが実際の競りでは大型会場よりも小規模会場では更に応札数が減少しており、会場格差は数字非常に広がってきています。ただ流通台数の少ない車種、人気車種の良質車はこれまでと変わらない落札結果となっており物件単位でも応札の二極化は非常に大きくなっています。

カテゴリー別の傾向

USS東京全体の成約率は前月比-2.3%とでしたが、カテゴリー別で大きく差が出ている箇所があります。

下落がもっとも目立ったのは10月に続き「コンパクト」で前月比-5.3%で9月の下落幅は-10.9%と急落レベルとなっています。次いで10月に微増となった「ハイブリッド」が前月比-4.7%となっています。

一方、「商用車」が前月比+0.1%、「初出品」が-0.7%と横這いとなっており下落時期ながら応札が集まっています。【表1】

24年6~11月カテゴリー別の変動 (USS東京1開催当たり)

12月以降、どーなる?

今年は、季節指数が作用せず(7月に最高値を更新)高値推移が続いていましたが10月から徐々に成約率・成約単価の低下が見られ下落傾向に入るサインが見られ始めました。

11月の週次では後半の3週目から大型会場(USS東京・名古屋・HAA神戸など)の出品数が急増、これは相場下落時期によくある「応札の伸び率の高い=バイヤーが多い会場」に台数が集まる傾向であり、他会場で流札した車両、転売車がより集中します。台数の急増によりバイヤーからは選択肢が増え良質車により集中、手のかかる車両は安ければ程度の応札になり、「応札の二極化」がより強まるということになります。

これまで外需に引っ張られ高値推移が続いたことで販売不振となっている小売店も多く、更に閑散期とあって下落が目立ったと言えます。買取店の動きもより小売への意識が高まっているようで良質車は「小売り」、評価点の低い車両は「AA」と分けている店舗が多く、小売り促進のために「置き場」を増やしている店舗多いようです。

12月は、年内納車のオーダーを中心に前半は良質車に応札が集中することから高値物件が目立つ可能性が高く、板金や修理を要する車両は更に低下する可能性があり、よりハッキリとした応札差が出てくる可能性があります。後半からは11月後半と似たような全体的に応札数減少する可能性が高いです。来年以降は新車の状況や小売り状況により大きく変わることが予想されます。

この記事の執筆者
倉田 佑一郎

倉田 佑一郎

自動車業界歴20年。24歳で自動車販売・買取の大手FC本部に入社。加盟店へのスーパーバイジング(経営改善)を得意とし、最優秀サポート賞を複数回受賞。独立後は多数の企業へ自動車ビジネスの支援をする傍ら、一般ドライバーへ向けた記事執筆や監修を行う。プロの目線から、愛車の価値を高く保ち賢いカーライフを送る提案を得意としている。