【修復歴車の見極めポイント第3回】フロント編「フロントクロスメンバー」
前号では「コアサポート」について触れました。コアサポートは交換・修正のみでは、修復歴扱いとはならず、オークションなどでは評価点「3.5点」となります。
今回は、修復歴扱いに該当するコアサポートの真下付近にある「フロントクロスメンバー」について触れていきたいと思います。
- 目次
フロントクロスメンバー(第一メンバー)とは
車体の前部(フロント)、コアサポートの真下付近、車体進行方向にたいして横方向に取付られている骨格となります。(車体に対して横方向についているので、クロスメンバーと呼ばれています。)
車体の強度、剛性を高め、サスペンションの取付精度を上げる為の部品となっています。基本的には、骨格の一部(溶接されている部品)ですが、軽微な凹みやキズでは修復歴になりません。個人差は多少出てきますが、広範囲、あるいは大きく凹んだキズ、修正が有る場合にのみ、修復歴となります。
フロントクロスメンバーは、ラジエーターコアサポートの一部として、コアサポートの交換時にASSY交換でフロントクロスメンバーも交換する場合がありま
ASSY交換の場合、コアサポートとフロントクロスメンバーの継ぎ目の溶接跡は、純正のスポット溶接となる為、フロントクロスメンバーの交換を見落とす場合がありますので注意が必要です。
※コアサポートのASSY交換:ASSYとは、パーツ単体ではなく、複数の部品が組み合わされた構成部品(ユニット)を指します。
見極めのポイント
フロントクロスメンバーが取り付けてある部分は、車体の下部にある為、縁石に乗り上げた場合や追突時に修復される場合が多く、見逃しやすい箇所でもある為、クロスメンバー単体で見ることや様々な角度から見ることが見落としを防ぐ重要なポイントとなります。
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- STEP1:フロントクロスメンバー単体の凹み、キズ、曲がり、歪の有無を確認していきます。
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- STEP2:塗装のムラ、修正、修正機跡、スポット溶接の打ち直しを確認していきます。
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- STEP3:フロントクロスメンバーの結合部、脱着跡、修正を確認していきます。
例外によるフロントクロスメンバーの修復歴扱い
低いものにぶつかった場合、フロントクロスメンバーのみ損傷を受ける可能性もあります。交換されていなくても、前からの押されや下からの突き上げによって、修復歴とされる場合があります。ボンネットやフェンダーの交換がなく、且つコアサポートにも修正・交換が確認できなくても、必ず、下廻りの確認と併せてフロントクロスメンバーの確認を実施する必要があります。
次回は「修復歴」になる箇所、インサイドパネルについて触れていきたいと思います。
- この記事の執筆者
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倉田 佑一郎
自動車業界歴20年。24歳で自動車販売・買取の大手FC本部に入社。加盟店へのスーパーバイジング(経営改善)を得意とし、最優秀サポート賞を複数回受賞。独立後は多数の企業へ自動車ビジネスの支援をする傍ら、一般ドライバーへ向けた記事執筆や監修を行う。プロの目線から、愛車の価値を高く保ち賢いカーライフを送る提案を得意としている。